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心に少しでも残れば幸いです

基幹システムを導入済みで 現場システムについて悩まれているお客様へ

私がIT業界に足を踏み入れて十数年、通算で約500社、さまざまなお客様とお話しする機会がありました。
もちろん当社業務としてお話を伺うので、その話はトレーサビリティがらみの在庫管理テーマが多くの比率を占めます。
その中で多くのお客様にいえる共通の悩み、「在庫管理」。
今回はこの「在庫管理」について、綴ってみたいと思います。

■本当に在庫管理してますか?

基幹システムに在庫管理を入れて「成功しているお客様の事例」は正直伺ったことがありません。
かなり刺激的な切り口でしたね。
といっても、経営企画、いわゆる<お帳面>から見ればもちろん、BS(貸借対照表)もPL(損益計算書)も問題なく計上されていてバッチリ。
こんなお客様はもちろんたくさんいらっしゃいます。
、、しかし、月末の棚卸しのお話を伺うと、一気にそのトーンは様変わり、。

「在庫にあわせて棚卸をしている」

「棚卸が合わない」

「そもそも棚票は手書きで月末に~」

そうなんです、現場の作業者レベルではとても在庫管理できているとは言えないんですね。

私がお話したいことはここの部分、「現場レベルの在庫管理」です。
確かに棚卸でデータが取る事が出来れば、月次帳票の要素は揃うかもしれません。
ただ、それって「在庫管理」ではないですよね。
棚卸し在庫をまとめているだけのつまり、「在庫報告」です。

基幹システムに機能としては取り込んだものの、活用はされていない
事例が圧倒的に多いのです。というか、それしか聞こえてきません。

話が長くなりました、そんな意味で在庫管理できている会社は
皆無です。ホントに少ない。

安心してください、皆さん同じような課題で悩まれています。
そして、今後の悩みはこうです。

会社としてももちろん、取引先様からの要望も日々スピードが求められるようになり、
トレーサビリティの観点からもより詳細な情報を求められ、
使用部材や材料の管理もそろそろ目をつぶれない状況になってきている。

なかなかどのように進めてよいかわからないテーマですよね。
今もそういったことでお悩みで、
この文章を読んでいただいている方もいらっしゃるかもしれません。

■基幹システムにおける現場システム構築の限界

さあ、どうしますか?
現場機能を盛り込んで、基幹システムで再構築しますか?
すでに検討始めていますか?
、、結果どうでした?
非常に満腹感一杯のシステム構築費用でなかったのではないでしょうか?
このままではいけないと取り組みを始めたものの、
費用面との兼ね合いと、何とかなっている現状で
課題としてのびのびになっていることもしばしばです。
ただ、早急に解決しなければならないテーマです。
正直にお話させて頂きます。
基幹システムで現場の在庫管理を構築することは非効率です。

確かに、「一元化」という表現は素晴らしく魅力的で、スマートな印象がありますよね。
何度も言うように、基幹系に在庫管理システムを導入されて成功されている会社さんはごくごく僅かです。
全体の0.2%ぐらいではないでしょうか。(今井訪問顧客先インタビューからの脳内調べ)

「なにをバカなっ!!我が社は成功してますよ!!!」って、そんな息巻かないで下さい。

もう一回言います。

月末、御社の現場社員さんは残業していませんか?

月末、管理帳票が出てくるまでに数日掛かっていませんか?

いや、それで成功していると言えるならばそれで良しとしましょう。
上記に記載した 今井の脳内調べの比率は確実に 20%ほどに上昇するでしょう。

でも、本当は悩まれているはずです。

もっと効率的な方法で業務を行いたいって、、
もっと楽をさせてあげたいって。

会計が主流となっている基幹システムと現場システムは全く別物と考えてください。

■今求められる現場システムの姿へ

現場システムを基幹システムで一元化。
在庫管理など非常に頭を悩ませている要因ではないでしょうか?
在庫管理のあるべき姿を解きほぐすことで、見えなかったものが見えてきます。

在庫管理=在庫を追及ですよね?

棚卸だけやって在庫管理って言っていませんよね?

日々の在庫=入庫、出庫の積み重ねですよね?

これが出来ればうまくいきます。

で、、入庫出庫の積み重ね。出来ていますか?

「生産調整」「生産報告」などといって在庫数の修正を多用していませんか?
深くうなずかれている方、要注意ですよ!!
それは基幹系にむけた「在庫報告」です。

「在庫管理」ではありません。

さて、今井脳内調べの比率が再び 0.2%に戻ったところで話をすすめます。

ここ数年、トレーサビリティが各企業にもとめられてその要求度は年々業界問わず上がってきています。
トレーサビリティの原点は、適正な入荷、在庫管理、加工・製造、出荷を行いそれをデータ結合することで可能となります。
トレーサビリティのお話はまた後日させていただきますが、成功のポイントは各要所で最小メッシュ(管理体)で実績を取ることです。

基幹系システムで在庫管理を行うのではなく
在庫報告は基幹系に向けて行う、在庫管理をサブシステムで構築する方法です。
現場に即した自由度の高いシステムを構築することができ、更には現場作業にあわせて実績収集手法を切り替えることが可能です。

■現場システムから作り上げるデータ活用

在庫管理というともっともポピュラーな方法はハンディターミナルを活用した事例ですが、
昨今は、バーコードやICタグを活用し、電子ペーパー、電子ハカリ、タッチパネル、進捗モニタなどを
活用することで各作業や役割に応じたシステムを容易に展開することができます。

的確な作業実績をIT化することで、必要なときに必要な場所に提供することができます。
この要領で、データを活用し月末の在庫報告を行ってしまうのです。
基幹系で求められている在庫「求めるもの:品別在庫または分類別在庫で充分」と
現場が求めている在庫「求めるもの:入荷日別の詳細在庫(ロット、使用期限、賞味期限別)」)
は確実に管理するメッシュが異なります。

必要なことは、【最小の管理メッシュを抑えることです】

細かい実績はデータ化されていますので、いかようにも形を変えることができます。
今求められる現場システムは「機動性」です。
・使う人に対する「機動性」
・システム拡張に対する「機動性」

今までのように、「一元化」と言われていた時代ではないとはっきりいえます。
勇気を持ってサブシステムを構築し現場改善に取り組んでください。

お声掛けいただければダックスも全力でご協力させていただきます。
私たちも自信を持ってご提供できるシステムを提供し続けることができるよう
日々構築、研究、模索していきたいと思います。

皆様の心のどこかに残れば幸いです。

乱筆、乱文ご容赦下さい。

2012/8/15 今井哲也

創立10周年を迎えました

2014年7月7日、みなさまのおかげで、
株式会社ダックスは創業10周年を迎えることができました。

いまではダックスとお付き合い頂いている会社様は 約1000社。
業界としては、自動車業界、建築業界、医療業界、そして食品業界と様々な企業様です。

思い起こせば、2004年7月7日。
静岡ビジネスプランコンテストでの受賞後、
今井、月見里の2名で清水産業プラザで創業を開始しました。

「業務用のソフトは高すぎる。」
「余計な機能が多すぎ。」

そんな思いから、
「現場密着型ソフトウェア開発」
をコンセプトにした、ソフトウェア開発会社をスタートしました。

私たちダックスの名刺には創業時から
「トレーサビリティ専門 ソフトウェア開発会社」と表記しています。

「トレーサビリティ」。
当時、一部の業界の方々でよく使われていたものの、
トレーサビリティという言葉はまだ一般的でなく 聞き返されることが多く、
少しこの言葉を知っている方からも、
「トレーサビリティ専門なのに、在庫管理のご提案ですか?
 トレーサビリティだけではお仕事成り立たないですものね。」
と的ハズレな御心配を頂いたものです。

あれから10年経ちました。

トレーサビリティだけのシステムなんてありません。
「現場密着で行うからこそトレーサビリティが実現できる」
在庫管理からA品、B品の入出庫管理を行い、そのものがいつ入ってきたのか、
調べるトレーサビリティや検品作業の実績収集から出荷した製品の使用期限を
集めるだけのトレーサビリティだってあります。
業務や規模でなく、肝心なことは、システムが生きて次のシステムと繋がることです。
「現場で使えるシステムをご提供する」
私たちのコンセプトは変わることはありません。

現場業務の作業を見つけIT化することが、効率的なITシステムを構築すること。
ミクロデータを保持収集することが、マクロのデータの基盤になるのです。

高速なデータ回線を利用し、スマートフォンで検索。
今はそんな時代で、10年前 折りたたみの携帯片手にパソコンを開いていたのが嘘のようです。

これからの10年を考えてみます。

ビックデータやクラウドを活用したソフトウェア、
ウェアラブルコンピュータの進化を遂げ続けるハードウェア。

これからは、飛行機の中ですら、パソコンなどの電子機器が利用できるようになることを
きっかけに、どこでも仕事ができるようになり(何を仕事とするかの定義すらも変わるかもしれませんが、、)
入力することで機械を動かした時代から、機械が判断し動いてくれる時代になるでしょう。
そうなれば、私たちの仕事の内容も、その取り組むスタイルも大きく変化していきます。

「現場=生産」というモノつくりの定義はもちろん変わりませんが、
現場には更に高度な情報が求められ、より効率化を強いられる事になります。

ソフト開発会社の枠組みにとらわれず、
『「今、現場で何が効率的か?」
   常に課題を持ち、ご提供し続ける身近なシステム開発会社』

を目指して、またこの先 スタッフ一同邁進していきたいと思います。
楽しみにしていて下さい。

今後ともよろしくお願い致します。

2014年7月7日 株式会社ダックス 今井哲也